走れ外科医 なくな研修医3
昨日は術後20日後初にして自転車に乗った。
自転車に乗った時に感じる膀胱や大腸の位置が変わった違和感とたまに左の下腹部に走る痛みは否めないけどそれでもこれで行動範囲が飛躍的に上がる事、今まで自分の身長の分の高さしかみていなかった視界が高くなり視野が広がり、風を感じられる事が何より嬉しかった。(花粉、PM2.5、黄砂等のアレらがなければもっと最高だけど)
でもこういったときに感じることのできる、まるで映画サウンドミュージックのオープニングのような爽快感は術後の回復期の醍醐味と言っても良いだろう(8回経験してるから余計にそう思うのかもしれない)
自転車に乗れるようになったので徒歩でバテない程度の行動範囲から除外していた行きつけの本屋に行き、そこで自分の術後の参考のために医学書コーナーの婦人科手術の写真を見たり、今後必要になりそうな資格の参考書を買ったり(死ぬほど怠惰な人間なのでまず取り掛かるまでに時間がかかりすぎる。そして結局やらないこともあるので本当にこれどうにかしないといけない問題諸所あり)、NHKのラジオ英会話、栄養と料理の4月号、スヌーピーの日本語と英語が書かれているものを抱え込みレジに向かう。レジに向かっている途中に文庫本コーナーの間を進んでいると視界に外科医中山裕次郎先生の「泣くな研修医」シリーズの最新刊が目に入ったのでそれも買っておいた。
中山裕次郎先生は私が以前の担当であった医者とのコミュニケーションがしんどいと思っていた時に引き寄せられるように手に取った「医者の本音」の著者だ。
この本には普段、診察や検査に手術、学会や論文作成に寝る間もないくらい忙しい医者が総合奥病院での流れや私生活(お金と恋愛)の事も含め全体的には患者への深い思慮が散りばめられた名書。これを読むと改めて、生まれた時からお世話になっていた、小児循環器系の先生方、今お世話になっている心臓血管外科の担当の先生をはじめとする各科への先生方への思いが本を閉じた瞬間に涙腺から涙が滝のように溢れたのは言うまでもないし、随分と気持ちが救われいた。残念なことに担当を辞めてもらった先生には結局そんな思いは1ミリも湧くことがなかったけども・・
そんな一般人の自分にもわかりやすく読みやすいリズミカルな文章を書いてくれる人なので何かメディカル的な情報を知りたいときはこの先生の記事も読むことがあった。
他の情報収集源として、各科でお世話になっている先生に質問をしてみたり、ツイッターでお馴染みのけいゆう先生、大須賀先生、津川先生や木下先生の記事を読んだり、、
そして忘れてはならぬドM系循環器内科医はる㌧先生。先生のお陰で毎回気持ちが途端に重く思考がネガティブに行ってしまいがちな循内担当医の診察前後も何とか気持ちを保つことができていた。
前置きが長くなった…
中山祐二郎先生の新刊のことを書きたかったんだった…
なくな研修医シリーズはその名の通り
研修医として医療現場で働く雨野隆治の医者そして人間としての成長物語りである。とにかく必死で泣きながらもがきながらひたすら目の前の患者さんたちに向き合っていく何ともこころにぐっとくる、そして現役の医師が書く臨場感、リアルが溢れるシリーズなのである。
今回のシリーズを昨晩、一気に読めてしまったのだけど、今までの感じとなんだか違っていた。所々の描写が今まで以上に温かみがあり都度泣きそうなのである。何が違うのだろうと思いパラパラとページを遡っていくと目次の次のページに「HYに」と書いてあった・・そう、三年前、ちょうど今くらいの時期に空へ旅立たれた山下弘子さんへ捧げる物語だった。。主人公の向日葵(ムカイアオイ)の名前は彼女が生前残した書籍のタイトルでもあった・・
先生はどんな気持ちでこの作品を書かれていったのであろうか。。
今回のシリーズは先日友人を亡くした私にとっても非常に胸を揺さぶられるものとなった・・



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